7/15
1/15
6/15
5/15
4/15
3/15
生物学的製剤の比較 インフリキシマブ(IFX),エタネルセプト(ETN)に引き続き,新に2008年にはIFXの完全ヒト型化された,皮下注射剤のアダリブマブ(ADA)とIL−6の働きを阻害するトシリズマブ(TOC)が日本で認可されました。また、2010年にはT細胞の共刺激経路を阻害することによりナイーブT細胞の活性化を調節するアバタセプトが我が国5番目の生物学的製剤として認可されました。さらに、2011年9月には、ADAと同じ抗TNF阻害剤で4週に1回皮下注射するゴリムマブ(シンポニー)が使用可能になりました。2013年には、セルトリズマブ・ペゴル(シムジア)が、さらに、点滴製剤であるトシリズマブとアバタセプトの皮下注射剤の発売が予定されています。 それぞれ7剤とも関節リウマチに著効しますが,阻害するサイトカインの種類,投与経路,投与間隔,メトトレキサート(MTX)との併用の有無などに違いがあります。有効性,有害事象においては同等と考えられます。1剤無効例に対して他の生物学的製剤にスイッチしても多くの症例で有効であることが示されています。いずれも高価な薬剤には違いありませんが,生物学的製剤の選択肢が広がったのは間違いありません。
生物学的製剤の一覧(皮下注射剤) 現在、皮下注射剤として市販されているのは、ヒュミラ、シンポニー、エンブレル、シムジアの4剤ですが、今年中にこれまで点滴製剤であったアクテムラとオレンシアが発売される予定です。作用機序、投与間隔、自己注射の可否、メトトレキサート(MTX)併用の有無などに違いがあります。
Adalimumab(アダリムマブ、ヒュミラ、ADA) インフリキシマブ(レミケード、IFX)は約25%がマウスのタンパク質を含む抗TNFα抗体であり、そのため、治療を繰り返すうちにマウス蛋白に対する中和抗体(HACA)が出現するため、アレルギー症状や次回の点滴日まで効果が持続しなくなったり(二次無効)することがありました。ADAはそういったIFXの弱点を克服するためにマウスの蛋白を含まないヒト抗体を作成したのがADAです。しかし、残念ながら、アダリムマブ自体に対する抗体(AAA)が産生されるようで、必ずしもIFXの弱点を完全には克服できていないようです。そのため、免疫抑制剤であるリウマトレックス(MTX)を併用するのが原則です。ADAは40mg~80mgを2週間に一度、皮下注射します。エタネルセプト(エンブレル)が週に2回皮下注射するのに比べて、注射間隔が長いのが特徴です。ADAも自己注射が可能です。他の生物学的製剤からの変更(スイッチ)も可能です。
ヒュミラの有効性 HOPEFUL1試験は、MTX未使用の患者を対象とした生物学的製剤とMTXの同時併用の国内初の前向き試験です。ヒュミラとメトトレキサート(MTX)との併用群は、MTX単独群に比べてACR20改善率(臨床症状が20%以上改善した患者の割合)は有意に改善しています。また、その効果は2週目より現れています。
各生物学的製剤の治療効果(自験例) IFX(インフリキシマブ、レミケード)、ETN(エタネルセプト、エンブレル)、TCZ(トシリズマブ、アクトネル)、ADA(アダリムマブ、ヒュミラ)、ABT(アバタセプト、オレンシア)、GLM(ゴリムマブ、シンポニー)の治療成績です。いずれの生物学的製剤でも早期よりCDAI10以下の低疾患活動性になっています。
8/15
アダリムマブ(ヒュミラ、ADA)はメトトレキサート(MTX)と併用することで効果を発揮する。 我が国におけるADAの全例調査の中間解析結果を示していますが、MTX8mg/w以上をADAと併用することで中等度以上の反応性(good response、moderate response)を示す患者の割合が85.3%まで増加しています。
アダリムマブ(ADA)投与による完全寛解率 ADAの海外臨床試験(PREMIER)試験によると、臨床的寛解(炎症反応の正常化)、構造的寛解(関節破壊の進行なし)、機能的寛解(身体機能の正常化)を満たした完全寛解を達成できた患者の割合は、メトトレキサート(MTX)併用で35%に達しています。
10/15
他生物学的製剤(抗TNF製剤)からの切り替え後のアダリブマブの反応性 他の生物学的製剤からアダリブマブへスイッチした場合の反応性を調べています(ReACT試験) アダリムマブへ処方変更後の12週目のACR反応率は,過去にIインフリキシマブ(レミケードinf),エタネルセプト(エンブレル,Eta)の使用経験があった患者さんにおいても良好な反応を示していました.また,Inf及びEta両剤の使用経験のある患者でのACR反応率は,抗TNF製剤未使用群,Inf,Etaどちらかを使用した患者と比較して,若干低い傾向にはありましたが,良好な反応を示していました.
アダリムマブ(ヒュミラ、ADA)は関節破壊の進行を抑制します。 ヒュミラを104週投与し、関節破壊の進行抑制を試験した結果です。 縦軸が投与開始後の関節破壊の進行度を示しています(modified-total Sharpスコア変化量)。 メトトレキサート(MTX)単独投与群と比較してヒュミラ投与群は有意に関節破壊の進行を抑制しています。とりわけ、MTXと併用すれば抑制効果は顕著です。
各生物学的製剤の国内市販後調査(PMS)報告における副作用 IFX(インフリキシマブ、レミケード)、ETN(エタネルセプト、エンブレル)、ADA(アダリムマブ、ヒュミラ)、TCZ(トシリズマブ、アクトネル)、ABT(アバタセプト、オレンシア)で治療された患者さんの内、入院を要するような重篤な副作用(AE)が出現した割合は2.4〜7.5%でした。主な重篤なAEの内訳は、ほとんどが、一般の感染症で、他の抗リウマチ薬にみられるような血液、肝、腎障害など全身の諸臓器障害の出現が極端に少ないということです。 感染症対策を十分に行うことで、生物学的製剤治療の副作用を抑えることが可能と言えます。
アダリムマブ(ADA,ヒュミラ)の薬剤費 スライドのごとく、大変高価な薬剤ですが、関節リウマチが関節破壊による就労離脱の危険性がある疾患であることを考えると、結果的には一概に高価であるとは言えないかも知れません。 また、種々の救済制度がありますので活用してください。また、寛解による休薬や中止が可能な患者さんもおられます。
14/15
15/15
抗サイトカイン療法の原理 近年,関節リウマチ(RA)の免疫異常,炎症(関節腫脹,関節痛),関節破壊には炎症性サイトカインが深く関わっていることが分かってきました.TNFα,IL-1,IL-6といわれるサイトカインです.こうしたRAに直接関係するサイトカインの働きを抑える薬が,抗サイトカイン療法といわれるものです.薬物としては生物学的製剤があります.マクロファージやリンパ球などの免疫担当細胞より産生されるサイトカインは標的細胞であるリンパ球,滑膜細胞,軟膏細胞に働き,異常な免疫反応,関節炎,関節破壊を引き起こします.抗サイトカイン療法とはこれら炎症性サイトカインの作用を各種段階で抑える目的で作成された製剤を投与する治療法です.現在は,抗サイトカイン抗体(インフリキシマブ,アダリブマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ・ペゴル)や可溶性受容体(エタネルセプト),抗IL6受容体抗体(トシリズマブ)、抗T細胞調整剤(アバタセプト)などの生物学的製剤が保険採用されています.
7/15
13/15
2/15
9/15
11/15
12/15
2ヵ月投薬にて高額療養費制度を活用 ヒュミラは自己注射、長期投与が許されていますので、高額療養費制度の活用が可能です。 例えば、3か月間はヒュミラ40mg/2週で投与開始します。投与から3か月目より安定期に入り、2か月投薬が始まりますと2か月投薬投与開始4回目より44,400/2ヵ月以上の負担はなくなり、約2万円/月の医療費となります。
ヒュミラは初めから薬液がシリンジに充填された「プレフィルトシリンジ」というパッケージになっています。溶解・調整の手間がかからず、安全・確実に投薬できます。自己注射でも使いやすいように大きなバックストッパーが付いています。